牧山の松明行事
8月24日は京都府南丹市の限界集落、日吉町中世木の牧山地区が1年の内で最も賑わいを見せる日になります。地元で盂蘭盆のこの日の夜、100年以上も続いている松明行事が営まれるのです。鎮火の神である愛宕信仰の中で生まれた松明行事があるこの日は、近隣に移り住んだ地区の子供たちや元住民の人たちも帰って来て、全員で行事を盛り上げます。

松明が点火される前、普門院で住民たちによる読経が行われます
牧山地区は以前は20戸ほどの集落でしたが現在は10戸足らずに減少し、地区内で一番若い人でも60歳以上の高齢者だけが暮らす地域です。また牧山地区へ行くには日吉町と京都市右京区京北を結ぶ府道364号線から、細い山道を車で5~10分ほど登らなければなりません。そのため当地区で暮らすには軽トラ等の自動車に乗れることが必須条件と言えます。
田畑はかなり以前に圃場整備がされていて米や丹波黒豆の栽培が行われていますが、戸数の減少で管理の手が不足して荒地になっている個所もあり、田畑の周囲には電気柵が設置してはあるものの、それでもシカやイノシシが民家のすぐそばまでやって来て荒らします。今年の松明行事の数日前にはクマが目撃されたとも聞きました。
このような地域では勤めに出るのも、子供を学校へ通わすのも大変なことだということは一目でわかります。住民の方が黒豆を苦労豆とおっしゃるように、農作業は特に高齢者にはしんどい仕事です。普門院や大山祇(おおやまずみ)神社、そして伝統の松明行事がどのような形で後世に受け継がれて行くのか、同じ口丹波の農村に暮らしている管理人にも人ごとではないように思えます。

点火された大松明

西牧山の普門院、大山祇神社共通の境内で営まれます
牧山の松明行事
松明行事は京都府の無形民俗文化財に登録されていて、毎年8月24日の午後8時に松明に火が点されます。
住民の高齢化によってこの伝統行事も徐々に縮小されているそうです。松明も少し小さくなり、数年前までは夜店が出て盆踊りも行われていたそうです。昔は100人ほどいた住民も今では20人足らずにまで減りました。大松明のほか牧山地区の戸数分の小松明が並びますが、この数も随分と減ったことでしょう。それでもこの夜は両親の里帰りについて来た子供たちも、大人たちに交じって嬉しそうにお千度参りをして、行事を楽しんでいました。
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